吃音(近藤雄生著)は吃音の理解を深める為に、オススメです

2019年ノンフィクション本大賞本屋大賞にノミネートされた近藤雄生が書いた、吃音

吃音で長年、悩みを抱えてきた私にとっては気になって仕方がない本でした。

実際に読んでみると、吃音についてまだまだ知らないことがたくさん書かれていて理解を深めるにはとても役立ちましたので私が参考になったと思う情報をまとめて紹介します

 

吃音はまだわかっていない部分が多い

まずは、この本でも何度も文章として出てきますが、吃音はまだわかっていない部分が多いということです。

吃音になる原因吃音のメカニズム吃音の治療法等、それぞれ諸説ありますが現時点ではっきりとこれだと断定されているものはありません。

そのことが、吃音について誤った理解を生んだり、周囲に理解してもらえないと吃音者を悩ませている原因にもなっています。

しかし、一方でそのことを知っていることと知っていないでは大きな差です。

もしも知っていれば、吃音を絶対治すと語るような詐欺的な治療法に騙されることもないでしょうし、わからないなりに自分たちなりに試行錯誤しながら吃音との上手な付き合い方を考えることがでるでしょう。

 

吃音の認知度は徐々に上がってきている

しかし、吃音についてネガティブな情報だけではなく、徐々に吃音に関する世の中の関心や認知度は上がってきていることが本書には書かれています。

その裏付けの一つとして、新聞に吃音に関して取り上げられる回数が年々増加していることが文中で紹介されていました。

今はまだ、周囲の理解が得られずに苦しんでいる人たちも徐々にわかってもらえるようになるなら、頑張れるのではないでしょうか?

認知度が上がってきていることがわかるだけでも、吃音で今まさに悩んでいる人達にとってはポジティブな情報であったと思います。

 

周囲に理解してもらえるように働きかける重要性

だからといって、吃音に関する認識が世の中に浸透するのを待つだけではいけません。

周囲に対して理解してもらえるように自ら働きかけることが重要です。

先にも申し上げた通り、吃音はわかっていない部分が多く、徐々に認知度が上がってきているとはいえ、まだまだ周囲の理解度は決して高くありません。

ですから、吃音者自らが自分自身の悩みや、自分が置かれている状況を周囲に伝えることが重要です。

本の中では、吃音症の子供の親が学校の担任と連絡ノートで日々の様子を伝えながら教師の協力を得て、子供にとってより良い環境を整えられたことや、吃音を職場に打ち明けることで合理的な配慮が得られた例が紹介されています。

周囲の人も意地悪で、吃音者を悩ましているわけではありませんので、自ら積極的に周囲の理解を求めていくことも本書で学んだ重要なポイントの一つです。

 

吃音治療には何通りものアプローチ方法がある

もちろん周囲の協力を得るだけではなく、自ら吃音の改善に取り組むこともできます

吃音は完全な治療方法が見つかっているわけではありませんが、本の中ではいくつかの治療法が特定の人にとってはある程度の効果を発揮していることが紹介されていました。

ですから吃音だからといって何かを諦める必要はありませんし、吃音治療が一度上手くいかなかったからといって悲観する必要はありません。

トライ&エラーで自分に合った治療法に出会うまで挑戦してみても良いのです。

吃音である程度効果があると思われる治療法について、後々このブログでも紹介させて頂きたいと思います。

 

吃音の情報交換をするリアルの交流の場がある

そして、この本では吃音治療で改善した例の他にも、吃音で悩む者同士が交流の機会を得て絆を深める様子についても書かれています。

吃音は当事者でないとリアルに共感しあうことができない、難しい部分もあるでしょう。

ですから、吃音者同士が交流して情報交換や悩みを共有できることはとても重要な意味を持ちます

本書では、言友会や、うぃーすたーといった団体が紹介されていました。

もしかしたら、SNS等でそれらの団体があることは知っていた方もいるかもしれませんが実態がわからず参加を見送っていた方もいるでしょう。

私自身も参加を見送っていた一人でしたが、吃音で悩む当事者が立ち上げた怪しくない団体であることがわかりましたので、私も一度参加して皆さんに紹介したいと思います。

 

まとめ

この本は、自らも吃音で悩んだ経験がある筆者が、数多くの吃音者にインタビューをしてまとめたノンフィクションです。

本の冒頭は、ある男性が吃音を苦に自殺を図る衝撃的な場面からはじまります。

しかし、悲観的なエピソードだけではなく自らの努力や周囲の協力を得て、自分を取り巻く環境を大きく変えたたくましい人たちのエピソードも多く紹介されていました

吃音は、わかっていない部分が多いだけに当事者も周囲の人も、誰に相談したら良いかもわからず一人で悩みを抱え込んでしまうことも少なくありません。

ですから、様々な人のエピソードをもとに吃音についてたくさんの情報が紹介されている本書は、吃音で悩む当事者にとっても、家族等の周囲の人にとっても本当に有益です。

是非、吃音にとって理解を深めたい人は手に取って読んでみて頂くことをオススメします。

もし、書店でレジに持っていくことで吃音であることを知られたくない人はネットで購入するのもアリです。

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この本や私の、記事が貴方の悩みを少しでも和らげたり吃音に関する理解を深めるきっかけになることが出来たらとても嬉しく思います。