吃音をやり過ごせる、電話での工夫とは?

電話、吃音の方の多くが苦手としているのではないでしょうか?

僕も営業の仕事をしていますが、電話がかなり苦手でした。

今でこそ、かなり克服されていますが調子が悪い時は、第一声で吃ることもしばしばあります。

また、新入社員の時には電話を取るにもテストが課せられ、頭ではセリフがわかっているにもかかわらず社名が言えずに苦しんだ経験もありました。

しかし、今でもたまに吃ることはあっても他の社員と同じように電話に出ています

普段から私がしている、吃音をやり過ごせる電話での工夫を紹介します。

 

身体や手を動かして勢いをつける

勢いよく頑張る

吃音で第一声が出にくい時に、身体や手を動かして勢いをつけることで声も絞り出す方は多いと思います。

この方法は、電話では更に有効です。

受話器の向こう側の相手は、貴方が話すときに身体や手を動かしていたとしても全く見えません。

ですから、不自然な動きをしながら電話をしていても相手は気にならないのです。

もしも、同僚などの周囲の目が気になるのであれば、机の下で足を動かしたり、メモを取るふりをして手を動かせば目立つこともありません

これだけの工夫で、電話への苦手意識が減少したり吃音の症状が出にくくなるのであれば試さない手はないのではないでしょうか?

 

無音の第一声を出す

第一声

これは、吃音の方でも実践している話をあまり聞きませんので、活用している人も少ないのかもしれません。

どのような方法か、想像してもらう為に、一つ質問をします。

吃音で第一声が上手く出なくて困ったときに、「あ~、○○」、「え~、○○」といった具合に発生しづらい音を最初に出してから話す方法を使ったことはありますでしょうか?

これと同じ要領で、話し出しの部分が吃音の症状が出て言葉が出ないかもしれないと感じたら、無音で口だけ動かして「あ~」、「え~」など発生しやすい音を出す動作をします

その動作をしてから話し始めると、実際に音を出した場合と同じようにスラスラと後の言葉が続く事があるのです。

その様子を、まじまじと観察されていたら、腹話術師のいっこく堂さんの声が遅れて聞こえる持ちネタの様をやっているかのような違和感を持たれるかもしれません。

しかし、1文字ぶん口を動かすだけであればそれほど、違和感に気付くひともいませんし、ましてや電話越しの相手には見えていませんので全く気付かれないでしょう。

 

録音したセリフを流す

録音

これは、私は実践したことはありませんが、とある吃音仲間が実践しているアイディアでなるほどと感じたのでご紹介します。

この方法は、「お世話になっております。○○会社の××です。」といったような、ほぼ確実に毎回言う様な定型文を録音して流すのです。

何故このような方法を行うのか勘の良い方はお察しかもしれませんが、吃音症状のある人が電話で最も苦戦するのが、必ず言わなくてはいけない様な定型文の中に自分の発生し難い言葉が含まれていた場合が多いでしょう。

なぜなら、会話の流れの中で吃音症状が出そうなワードが出てきた場合には、言い回しを変えることや、倒置法で語順を変える事で、軽度な吃音であれば症状を回避することがきます。

しかし、定型文は言いかえできる言葉が無かったり、語順を変えるとあまりに不自然になってしまう為、吃音症状を回避することが難しいからです。

更に、吃音症状を回避する手段が封じられることで、吃音者にとってはプレッシャーがかかります

そして、プレッシャーにより更に吃音症状が出る可能性が高くなる

定型文のセリフには、そのような悪循環に陥り易い特徴があります

ですから、録音した定型文を流してやり過ごせる準備をしておくことで、実際に録音した音声を使っても使わなくても、いざというときに打つ手がある安心感により悪循環に嵌らずに済ませることができるというアイディアです。

少し荒業にも感じるかもしれませんが私は一時期、自分の会社の社名が言えずに、社名を略したり、頻繁に連絡をしている得意先に対しては名前だけを名乗って電話をしていたら、当時の上司に怒られた経験があります。

吃音をカミングアウトしてないから、なぜ社名を言わないのかと怒られたわけですが、定型文を録音する方法を知っていたら、こんなことで悩まなかったかもしれません。

ですから、少々ずる賢いやり方ではありますが、電話で吃音を回避する一つの選択肢としては持っていても良いのではないかと思います。

 

まとめ

まとめ

吃音で悩む人にとって、声だけで要件を伝えなくてはならない電話は吃るわけにもいかず、とてもプレッシャーに感じることでしょう。

しかし、伝わるのは声だけで動作は見えないことを逆手に取れば、吃音症状を回避するための様々な工夫が可能です。

ですから、吃音だからと言って電話で何かを伝える必要はありません

何通りかの対策を用意しておくことで、吃音症状が出そうになったとしても乗り切れるという自信にもつながります。

是非、今回紹介した方法を試してみて頂けると嬉しいです。